９２歳・仲代達矢、“第２のふるさと”能登へ恩返し「生きる励ましを届ける」　過酷さ増す毎日１時間ジョギング＆発声トレ

９２歳・仲代達矢、“第２のふるさと”能登へ恩返し「生きる励ましを届ける」　過酷さ増す毎日１時間ジョギング＆発声トレ
3/13(木) 5:00　スポーツ報知
https://hochi.news/articles/20250312-OHT1T51296.html
髪を伸ばしている仲代達矢。年齢を感じさせない元気な様子だ（カメラ・清水　武）

　昨年１２月に９２歳になった俳優・仲代達矢がこのほど、スポーツ報知のインタビューに応じた。現在、５、６月の無名塾公演「肝っ玉おっ母と子供たち」（石川・能登演劇堂）の稽古の真っ最中。劇場がある七尾市は、能登半島地震で被災した。仲代は自身の当たり役を通して「“第２のふるさと”に少しでも生きる励ましを」と願う。日々のトレーニングに目を向けると、その過酷さは昨年よりも激しさを増す壮絶なものだった。（内野　小百美）

　無名塾（東京・世田谷区）の稽古場に仲代のせりふの声が響き渡る。見る者を圧倒する声量だ。

　「演劇をやる限り、何より大事なのは声。出さないと、どんどん衰えますから。毎日のランニングとともに欠かしません」

　毎日１時間近く、ジョギングと発声を自らに課す。約１年半前の取材ではウォーキングと話していたが、「走る」ことに変わっていた。もはや、超人だ。

　年齢的に命懸けともいえる過酷さ。ここまで東京生まれの仲代を追い込ませるのは「第２のふるさと」への恩返しに他ならない。「震災直後、被災地が廃虚のようになっているのを見た。自分の経験した戦時中の廃虚ともだぶって感じられ、つらかった。劇場の人たちと毎日のように電話することしかできなかったが、少しでも力になり、生きる励ましを届けられれば」

　２年ぶりの舞台はドイツの劇作家ブレヒトの名作。仲代は女手ひとつで３人の子を抱え、戦火を渡り歩く「肝っ玉おっ母」こと女商人アンナを演じる。「いまこの時代、反戦劇として上演します」と話す通り、命の尊さとともに戦争の愚かさが色濃く描かれていく。演出を手掛けた亡き妻の隆巴（りゅう・ともえ、宮崎恭子）さんが８８年の初演時、女性の役を５６歳の夫に託した。「オレは、男だぜ」と返すと「仲代さんが女に扮（ふん）したらちょうどいいの」。迷いはなかった。今では仲代の代表作。その異色の役に、８年ぶりに挑む。

　台本を読み込むうちに気づく。演じる豪快なおっ母の中に、実母「愛子」の存在があった。「この人物、知ってるぞ。（母の）愛子がいるぞ、『愛子でいこう！』と思ってね。男以上に男勝りな人で。家族でつらい戦争も経験して。この母親がいたから、これまでできたんだと思いますね」。初演時に存命だった母は、照れくさくて逃げ回る息子に言った。「私って、あんなかい？」と。「肝っ玉愛子」とも呼ぶべき舞台だ。

　９２歳を迎えた昨年１２月１３日を、無名塾の教え子たちと祝った。恒例の上映会は「鬼龍院花子の生涯」（１９８２年、五社英雄監督）。主演の仲代が客の親分。夏目雅子さんの「なめたらいかんぜよ！」の名ぜりふで知られる邦画の名作だ。教え子にとっては仰ぎ見る存在だが「弟子のようで競争相手。抜かれたくありませんからね」。ぎらついた瞳でやる気を奮い立たせる。

　唯一のくつろぎは晩酌。「まずビール１缶。おいしくてもう１缶。おかずに刺身でも出てくれば、日本酒が欲しくなって１合くらい」。そして、ナイトキャップのウイスキーを。「いくら飲んでも、昔から全然酔わないもので。これだけは、どうもやめられなくてね」

（※以下略、全文は引用元サイトをご覧ください。）