映画『未来世紀ブラジル』(1985)とは何だったのか？人間性を抑圧する社会への批判が込められたディストピアSF

【「未来世紀ブラジル」評論】ダクトが這うディストピア――テリー・ギリアム監督が創出した「ブラジル」響く悪夢

5/13(水) 15:00配信

　聖夜のテロ、タイプライターのミスによる誤認逮捕と役人の破壊行為――わずか開始10分で、
不条理な狂気の世界に否応なく引きずりこまれる。そんな絶望の中で聞こえるのは“あの曲”――
繰り返し流れるアリイ・バロッソ作曲「ブラジル」の甘美なメロディが、いつまでも耳から離れない。

　物語の舞台は、徹底的な情報管理が敷かれた近未来。情報省記録局で働くサム（ジョナサン・プライス）は
銀色の羽をつけたヒーローに変身し、謎の美女と出会う夢を見る。
ある日、情報省にやってきた女性ジル（キム・グライスト）が、夢の中の美女と瓜二つだと気付く……。
「未来世紀ブラジル」には、テリー・ギリアム監督の情報管理社会への痛烈な批判がこめられている。
舞台設定は「20世紀のどこか」だが、鑑賞者はその狂った社会に既視感を覚え、戦慄する。
歴史の上で様々な独裁国家が繰り返してきた、または今もどこかで進行している“悲劇”がオーバーラップし、
現代に警鐘を鳴らし続ける。

https://news.yahoo.co.jp/articles/be4639124731f4e94a6edf04bf0788b9344ee1ff