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https://digital.asahi.com/articles/ASN4T52GMN4JPIHB025.html

ネットいじめ、勇気を出して相談　「大人の暴走」注意

兵庫県立大の竹内和雄・准教授と考える
　新型コロナウイルス問題で休校と外出自粛が続く中、子どもたちがスマートフォンやSNSを使う時間も増えています。世界とつながれる便利なツールでもあり、使い方を誤ると重大なトラブルを招く道具でもあるスマホ。より安全に使うためのヒントを、兵庫県立大の竹内和雄准教授とともに探りました。

　トラブルの一つに、ネットを使った攻撃のターゲットになる「ネットいじめ」があります。そのきっかけはえてして、これもネット上のささいな出来事です。

　例えば、人からもらったぬいぐるみの写真をLINEに載せて「これ、かわいくない」と書く。「かわいいでしょ」といいたいのに「？」をつけ忘れたばかりに逆の意味になって、LINE仲間から外される。

　短文でのやりとりは往々にして誤解を招き、互いに攻撃的になってしまうこともあります。高校生だとそのあたりがわかっていて「LINE上のトラブルをLINEで解決したらダメ。会わないとニュアンスが伝わらない」と言います。小学生ではそうはいきません。反抗期になる前に親子でLINEを試し、どんなときに誤解が生じるか、文字の難しさを体験しておくのも一つの手です。

　ネットいじめは刻々変化しています。直接的に攻撃する書き込みをするのは過去の話。SNSでは基本的に誰が書いたか分かるので、あからさまな悪口は珍しい。代わりに「ステメ」といわれる方法があります。LINEのプロフィル欄に載せる「ステータスメッセージ」に、「何様のつもり？」などと書く。誰のことを指しているのか、わかる人にはわかる。被害者は真綿で首を絞められるような思いをするのです。

　子どもが勇気を出して相談した時、気をつけたいのが「大人の暴走」。突如、学年集会を開いたり相手の家に抗議したり、子どもの気持ちを飛び越した行動で子どもの心を逆に閉ざしてしまうのは禁物です。

　子どもが普段ネットで何を楽しんでいるのかを知ってください。どうぶつの森、荒野行動、フォートナイト、ティックトック、ストーリー、ゼンリー。いくつ知っていますか？

　もう一つ、私の経験から言えるのは、少なくとも小・中学生の間はスマホを買う時に「知らない人と会わない」というルールを子どもに提案すべきです。困ったら大人に相談すること、解決策があること、心配していること――を子どもに繰り返し伝えてください。

　ゲームやSNSを通じて知り合い、親切を装って悩みを聞く大人がいます。いじめの相談にのりながら、ツイッターなどでいじめっ子を特定し、「この子に悪口をスクショして見せるぞ。ばらされたくなかったら裸の写真を送れ」と要求してくる。「スクショ」とはスクリーンショットの略で、表示画面をそのまま撮影できる機能です。最低これくらい知らないと、子どもの相談にも乗れません。

　親も相談先をもっておくことが重要です。私のお薦めは警察の相談電話「#9110」と、消費者ホットライン「188」です。

　先日、知らない人と会った経験のある子どもが「会う前にビデオ電話で確認したから大丈夫」と豪語していました。画面の向こう側、画面には映っていないところにどんな悪意がひそんでいるか。小学校低学年からの、特に性教育とも関連づけた教育が必須です。

　昨年、「スマホサミット」を共催したユニセフの方に言われたことが印象に残っています。「道路が危ないからと言って、子どもたちに道路を使わせないわけにはいかない。交通ルールなどの教育が必要。ネットも同じです」

　子どもは三輪車から始め、自転車の後ろを親が持って特訓し、徐々に1人で乗れるようになって行動範囲を広げます。スマホも特訓が必要です。安全に楽しむための一線を、どこに引くべきか。これからも一緒に考えていきましょう。

が至極