自殺しようと思う。　オススメの死に方教えろ

https://digital.asahi.com/articles/ASN5346DFN4PUPQJ00N.html

「リア充」生活、コロナで封印された今　辛酸なめ子さん

新型コロナウイルスは、どんな人にも「平等」に降りかかる脅威とされる。しかし、職種や階層、生活様式でリスクは異なるのではないか。コロナがあぶり出す「不平等」を考える。

都会の「没落」、価値が転換　辛酸なめ子さん（コラムニスト）
　コロナ禍で大きく変わったと思うのは、「リア充」的な生活が封印されたことです。ハレの場がなくなって、おしゃれなカフェに行ったり、パーティーで盛り上がったり、「インスタ映え」する写真をSNSに投稿したりといったことができなくなりました。
しんさんなめこ
1974年生まれ。ユニークな視点から社会現象を読み解く。著書に「おしゃ修行」「辛酸なめ子の現代社会学」など。
それは、東京で華やかに見える生活を送っていた人にとっての「没落」かもしれません。地方の人に優越感を覚えていたのに、いまは「東京の人間は地方に来るな」と言われてしまう。実家への帰省も嫌がられて「オンライン帰省」とか。価値観が百八十度逆転した感がありますね。
海外暮らしへの憧れも同じで、以前は「海外に住んでいる人は勝ち組」みたいな意識がありました。でも、コロナの影響で海外から帰国した人へのバッシングも起き、むしろ反感が表面に出ています。
最近は、「みんな平等につらい思いをしよう」という変なワンチーム意識みたいなものが広がっているように感じます。「江の島がこんなに混んでいる」と怒ったりとか。誰かが楽しんでいると、自分が損するような気分になる。みんな他人に攻撃的になっているような感じがします。
コロナ禍を機に、華やかに見える生活を送っていた人と、そうでなかった人の人間関係の「格差」が縮まっていくとは思っていません。
そうではなく、これまでの価値観を変えられる人と、変えられない人に分かれていくんだろうと思います。
「リア充」を続けたい人はオンライン会議アプリやSNSでおしゃれな部屋に住んでいることをアピールして、差をつけようとするとかはあるでしょうね。一方、「ひたすらストイックに暮らす」という人も増えるでしょう。
コロナ禍の前は、みんな外食のたびに写真を撮って投稿したり、タピオカの店に行列したり、けっこう無理して生きてたんじゃないでしょうか。これからは外に出るよりも自分と向き合う時間を大事にする。一億総修行みたいな感じになるかもしれません。
私も、以前はよくイベントやパーティーに行ってたんですが、なくなってみると人と会うのに結構、体力を使っていたことに気づきました。家にこもる今の生活は新鮮で、ゆっくり食事したり、瞑想（めいそう）したりする余裕ができました。
フリーランスの知人がコロナで講演会の仕事がなくなって、子供の塾のお金が払えないとか、みんなコロナで困って、大変さを分かち合う機会が増えました。困った状況を隠さず話しあって仲良くなれるのは、ポジティブな変化かもしれません。
これからは差をつけようとするんじゃなく、弱みをさらけ出すことが、同じ目線の人間関係の第一歩になるかもしれませんね。（聞き手シニアエディター・尾沢智史）
現場持つ人への想像力を藤田孝典さん（ほっとプラス理事）
新型コロナウイルスの感染拡大で、在宅勤務やテレワークがもてはやされています。この風潮には違和感があります。どうしても仕事に出なければならない人々への目配りが足りないと思うからです。
ふじたたかのり
1982年生まれ。聖学院大客員准教授、反貧困ネットワーク埼玉代表、社会福祉士。著書に「下流老人」など。
さいたま市を拠点に、生活に困っている人たちへの支援をしています。電話相談は、飲食業や運送業、清掃業、美容師、保育士、介護に携わる人などが多い。「現場」で働く人たちで、在宅やテレワークでは仕事になりません。
「現場」で人に接する仕事は、ウイルス感染のリスクが高まります。非正規雇用だったり、休業補償がなかったりするケースも多い。賃金も低い傾向にあります。
でも、私たちの暮らしは、こうした人たちが働いてくれるおかげで成り立っています。人の役に立ち、社会を支えている職業なのです。
一方で、テレワークが可能なホワイトカラーの仕事は、事務作業だったり、知識を必要とされたりする業務が多い。賃金も相対的に高い。しかし、会社に行かなくてもパソコンがあればできる仕事なら、将来はAI（人工知能）にもできるかもしれません。
ホワイトカラーの人々のどれだけが、他とは取り換えがきかない「価値」のある仕事だと実感しているでしょうか？
文化人類学者デビッド・グレーバーはそんな仕事を「ブルシット・ジョブ」（クソどうでもいい仕事）と呼び、先進国を中心に増えることについて問題提起しています。