【眼鏡】パリミキ、創業者ゆかりの店を10月末で閉店へ

眼鏡チェーン店「パリミキ」を展開するパリミキホールディングス（東京）の創業者の出身地、島根県奥出雲町のパリミキ奥出雲店が、31日で閉店する。松江市中心部から車で約50分の山あいにあり、利用客が減少し、赤字が続いていたという。同社は「ぎりぎりまで残したかったが、今後の運営が難しくなるため決断した」としている。

　パリミキホールディングスによると、同店は1986年11月、創業者の多根良尾氏（1905～86）が生まれた現・奥出雲町佐白に直営店として開店した。多根氏の生誕100周年記念に編まれた本に、「売れても売れんでもいいから店を出そう」という多根氏の言葉が紹介されている。多根氏は開店を見ずに同年8月に81歳で亡くなった。

　同店はフランチャイズを経て、2011年5月に再び直営に。18年から店長を務める中村哲也さん（59）によると、店長になった頃は月に120～150人が訪れていたが、現在は70～80人に減少。「道路が良くなって、地元の人が出雲市や松江市に出るようになった」と中村さんは語る。

　パリミキホールディングスは、不採算店舗の統廃合と好立地への移転を進めている。パリミキ、メガネの三城（現在はパリミキに統一）、グループ会社の金鳳堂の国内店舗数は、20年3月の701から、今年3月には638になった。赤字が続いていた奥出雲店も、創業者ゆかりの店だけに営業を続けてきたが、37年の歴史に幕を下ろすことになった。

　奥出雲店は9月まで、日、月、木曜日のみの営業だったが、10月は毎日営業し、売り尽くしセール中だ。建物は解体する予定。11月以降は週1回のペースで町内に出張サービスをするという。

　中村店長は「創業者ゆかりの地なので、地元の皆さんとのご縁は大切にしたい。今後も出張サービスで力になりたい」。近くに住む男性（72）は「なくなると聞いてびっくりした。寂しいです」と話していた。（垣花昌弘）

朝日新聞　2023年10月11日 11時56分
https://www.asahi.com/articles/ASRBB73Q7RBBPTIB002.html