姪っ子（４歳）と会うんだけど、なにすれば良い?

https://mainichi.jp/articles/20200603/dde/018/070/007000c

やっぱり会いたい

コロナ禍の中で、日本大学でオンライン授業が始まって約ひと月がたちました。私が受け持つゼミと実習科目は個別指導のため、お互い顔を見ながら進められますが、パソコン画面に映る表情や声色だけで、会ったことのない学生とやり取りするのは思ったより集中力が要ります。むやみに詮索してはいけませんが、顔色をうかがいつつ、情報を集めています。

　私はテレビアナウンサーを最初のキャリアとして、今もテレビで仕事をしていますが、画面の中は中で、濃密な生の人間関係がありますから、自然、アナウンサーの伝達方法は「体温」を感じさせる肉感的なものなのです。「現場主義」「密着取材」という言葉もあるように、じかに対象に肉薄するべしと教わってきました。なので、じかに対峙（たいじ）した対象からインタビューや情報を引き出したりするのは、かなり自信があります。しかし、オンラインは会話をしていても呼吸の間がつかめません。番組のオンライン収録をしているタレントさんも、コメントを言うタイミングが計りづらいと困惑していたそうです。

　私たちは普段、いろんな感覚を駆使し、絶妙な会話の間合いを取っているのです。ただ、これからは濃密な生々しい関係がベストではなくなるかもしれません。新しい日常が定着し、学生など若い世代は苦も無く、コンピューターを通じた新しい対話の方法を習得していくような気がします。実際、オンライン授業は楽しそうに受けていますし、移動の手間もありません。九州や東北の実家から肩の力の抜けたすがすがしい笑顔を見せてくれる学生もいます。巷（ちまた）には、学業の遅れを危惧する声があふれていますが、若者の順応性、即応力の高さを見ていると、どこかで一気に巻き返せるのではないかと思ったりもします。

　濃密な関係に未練がましくすがりついていたいのは、私たちのような大人だけかもしれません。学生たちの「絵姿」ばかり見ていると会いたい思いが募りますが、もしかすると、学生は「別に会う必要なくない？」と思っていたりするんでしょうね。