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https://mainichi.jp/articles/20201108/ddl/k23/040/094000c

白バイ隊員の姉妹　長澤華乃さん（２４）、夢乃さん（２２）　母の背中追い、切磋琢磨　／愛知

女性白バイ隊員の先駆けとして活躍した母親の背中を追い、同じ白バイ隊員として訓練に汗を流す姉妹がいる。愛知県警第２交通機動隊（岡崎市）の長澤華乃さん（２４）、同第１交通機動隊（名古屋市）の夢乃さん（２２）。お互いの存在を「目標」（夢乃さん）、「一番の理解者」（華乃さん）と認め合い、切磋琢磨（せっさたくま）を続ける日々だ。【高井瞳】

　１０月に茨城県で開かれた白バイ隊員が運転技術を競う「全国白バイ安全運転競技会」で、愛知県代表として傾斜走行操縦競技に出場した華乃さんは２位に輝いた。最初に電話で入賞を報告したのは、一緒に練習に励んできた夢乃さんだ。「大会前、夢乃に『力んでいる』と指摘され、肩の力を抜くことを意識したら自分の走りができました」と華乃さん。夢乃さんは「今まで頑張っていたのを見てたから、うれしかった。自分も早く追いつけるように頑張りたい」と話す。

　二人が白バイ隊員を志すきっかけとなったのは、祖母の家の玄関に飾られた母の早苗さんの写真だ。県警で初めて女性の白バイ隊員が誕生した１９９０年の翌年に白バイ隊員になった早苗さんは、マラソン大会で先導役を務めるなど活躍。その後、長男の妊娠を機に退職した。青空の下、大きなバイクにまたがる母の姿は輝いていて二人の憧れだった。華乃さんは「いつか自分もこんなふうになりたい」と警察官を志した。

　夢乃さんにとって、学校や部活もずっと一緒だった姉は、「いつも追いかけても追いつけない存在」だった。白バイ隊員への憧れはあったけれど、姉とは違う道を進んでみたいと、一度は他の道も考えた。それでも、着実に夢に向かって進んでいる姉を見て「全国大会で姉を追い越したい」との思いが膨らんでいった。父や兄も警察官の警察一家でもある。

　最初は、二人とも重さ３００キロを超える白バイをうまく操れずに苦戦した。倒れたバイクを持ち上げるのもやっとだったが、自宅での筋力トレーニングやイメージトレーニングを重ねた。体を作るため、食事はたんぱく質を多く取るように意識した。夢乃さんは華乃さんに走り方のアドバイスをもらいながら、少しずつ扱いに慣れてきた。華乃さんも「私の走りの癖や性格を理解してアドバイスをくれる」妹に全幅の信頼を置く。

　二人はきょうも訓練の日々。「まだまだ写真に写る母の姿には追いつけていない。でも、みんなに愛される白バイ隊員になりたい」。小さいころから憧れ続けた母の背中に少しでも近づくため、二人の挑戦は続く。

　■人物略歴

長澤華乃（ながさわ・はなの）さん＝写真右。１９９６年１月生まれ。長澤夢乃（ながさわ・ゆめの）さん＝写真左。９７年１２月生まれ。豊川市出身。華乃さんは警察学校卒業後、豊橋署の地域課や交通課を経て２０１６年秋に第２交通機動隊に入隊。夢乃さんは警察学校卒業後、中署で地域課や交通課を経て１９年秋に第１交通機動隊に入隊。高校時代はともにソフトボール部のエース。猫が好きで、実家では３匹の猫を飼っている。