なんでモノタロウとかアスクルってＡｍａｚｏｎの劣化版みたいな感じなのに結構使われてるの？？？？？

https://digital.asahi.com/articles/ASN9X4DBGN9XUHBI012.html

アマゾン依存でのっぺりするNY度量が試される米経済

ほとんど自宅にこもる暮らしが半年続いた。どうにも居心地の悪いことがある。この間の自らの消費生活が、アメリカ経済の活力を損なうのに加勢しているのではないか、というかすかな罪悪感だ。
たとえば、生活費の支払いを集中させているクレジットカードの明細。アマゾン、アマゾン、そしてアマゾン。新型コロナ感染が広がってから、実店舗にはなるべく寄りつかなくなった。光熱費など毎月の定期的な支払い以外は、ネットで注文したアマゾンの購入履歴が明細にずらりと並ぶ。
外食をほとんどしなくなったこともあり、アマゾンの次に多い支出先は大手食品スーパーの「ホールフーズ・マーケット」だ。けれど、これもアマゾンが2017年に買収しており、実質アマゾンである。アマゾンのアプリから注文できるホールフーズの無料宅配がことのほか便利だと気づいてからは、ますます依存度が高まっている。
わが家計の消費支出のかなりの部分がアマゾン・ドット・コム1社にのみ込まれていることになる。この数カ月でジェフ・ベゾスCEOの資産を何兆円も膨らますのに、わずかばかり貢献したわけだ。
街に出てみる。自宅から徒歩1、2分のところに以前はカフェが4店あり、その日の気分で使い分けていた。しかし、コロナ危機でうち三つは店をたたんでしまった。どれもローカル資本や個人経営と思われる、小さな、けれどこだわりのコーヒーを出す店だった。
生き残ったのは？そう、スターバックスである。外出の際は、もっぱらそのスタバでアメリカーノかラテを買うようになった。
強い者がさらに強く
ごく少数の勝ち組企業が市場支配を強める寡占や独占をめぐっては、価格の高止まりやサービス低下、賃金の停滞、ロビイングによる政策のねじ曲げを招き、経済と民主主義をむしばんでいく。米国の経済論壇では数年前からそんな問題意識が強まっていた。最近話題の米巨大IT企業によるデジタル空間の独占に限らず、強い者がさらに強くなる傾向がコロナで一段と露骨になってしまった。
これまでの経世彩民
経済の多様性が失われていく「のっぺり化」とでも呼ぶべき現象は、別の形でも進んでいる。
ニューヨークでコロナ感染がかなり抑え込まれたこともあり、最近はスーパーや量販店で買い物する機会も少し増えた。ただ、どうも商品棚があっさりして見える。商品の量は元に戻ったのだが、その種類が以前より減っているのだ。
品ぞろえがソビエト化
パンにスナック菓子、パスタ、洗剤。メーカーや小売店が扱い品目を絞り込み、売れ筋ばかりそろえるようになっている。「ソビエトのような品ぞろえ」（米紙ワシントン・ポスト）との嘆きまで漏れるほどだ。
報道によると、米国内に1千店超を展開する大手スーパーは、以前は40種類あったトイレットペーパーの品ぞろえを4種類に絞り込んだという。昔が多すぎた面もあろうが、消費者の選択肢がじわりと狭まっているのは確かだ。
もちろん、春の感染ピーク時は必需品を消費者に届けるのが最優先だった。生産や流通を効率化するため、品ぞろえをいったん絞ったのは当然の対応だ。加えて、巣ごもり生活には、家に長くストックしておける定番の大量生産品が便利だという面もある。
買い物客も店内にいる時間をできるだけ短くしたい。販促のための試食コーナーは消えた。店内をゆっくり冷やかし、新しいものを試し買いするような機会はなくなってしまった。ネット通販ならなおさら過去の購買履歴にあるのと同じ品を注文しがちだ。
いくつもの要因が重なり、ローカルな作り手による新商品が世に出るチャンスが狭まってしまった。
保守化へのもどかしさ
そもそもアメリカ経済の強みは何だろう。新しいものを作り出す側の起業家や投資家の層の厚さだけではない。最初はなじみがなく、完成度に多少の難があっても、柔軟に受け入れてお金を払う「消費者の度量」ではないか。それがイノベーションを育んできた。
確立されたブランドかどうか、を気にしがちな日本の消費者とはだいぶ違う。コロナ危機によって中小ビジネスが追いやられ、消費者も保守的になり、強みを発揮できくなっているとしたらもどかしい。
米当局は、人件費や家賃の支払いを実質的に肩代わりする太っ腹な仕組みをつくり、中小企業の総崩れをなんとか食い止めてきた。しかし、それも8月に期限が切れた。米議会の与野党対立で追加支援も望み薄だ。今の経済状況のままなら、今後半年で中小企業の5分の1は廃業せざるをえなくなる。全米独立事業者協会（NFIB）はそう訴える。
ニューヨーク市では30日、飲食店の屋内での営業が半年ぶりに解禁される。路地に面した個性的な店こそ、この街の魅力だ。今度の休みは、近所のあの小さな店に、ブランチにでも出かけてみよう