パチで２万負けて、今泣きながら昼飯食ってる。　午後の過ごし方教えろ　ふざけんなアロー池上😰

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果物もマムシも乾燥　「神様」が守る本田宗一郎氏の教え

ドライアップジャパン　会長　瀬川幸三郎さん（74）
　くしゃくしゃなパチンコ店の折り込みチラシ。その裏には、場違いとも思える図形や数値が細かく刻まれていた。新しい乾燥機の設計図を考えるアイデア帳だ。お国自慢の宮崎県産マンゴーをはじめとするフルーツや、魚、花など、様々な素材の乾燥機を手がける。

　乾燥とは「品質を変えずに水分を抜くこと」だという。シンプルだが、奥が深い。温度や風の当て方ひとつで、色合いや風味が変わる。素材に応じてオーダーメイドで乾燥機を設計し、組み立てる。一方で、乾燥加工そのものも受託する。「自ら乾燥もやる乾燥機屋」という点が信頼され、全国から依頼がくる。これまでに乾燥させたものは100種類以上。何でも引き受けることから、いつからか「乾燥の神様」と農家に呼ばれるようになった。

　ホンダの子会社に入り、技術者のいろはを学んだ。創業者の本田宗一郎氏からは「3割考えたら動け」と教えられたという。長考せず動きながら考えろという教訓を生涯大事にしてきた。

　40代で会社を立ち上げた。乾燥の世界を選んだのも、ホンダ時代の経験がきっかけだ。高級車の分厚い塗装を乾かすために学んだ遠赤外線の技術に、将来性を感じていた。素材の分子を振動させて、内部から発熱を促し、短時間で乾燥させる。「この技術で何でも乾燥できる」と周囲に豪語していた。自宅の縁側で、寄せ集めの機材で小さな装置をつくり、退職して半年ほどで押し花の乾燥機の販売にこぎつけた。

　しかしやがて、遠赤外線では温度を制御できない素材もあると気づく。あっさりこだわりを捨て、温風による乾燥も採り入れた。「走りながら考えて、失敗したらすぐに修正する。本田さんの教えや」と話す。
　その後、独自の乾燥技術がテレビで採り上げられ、全国から乾燥の依頼が来るようになった。なかにはマムシなどの変わり種も。極めつきは、下水の浄化過程で出る汚泥を、効率的に処理するために棒状に固めてほしいという関西の自治体からの依頼だ。社会的意義は大きいが、工場中に臭いが充満し、従業員には不評だった。「人間のし尿まで乾燥させたのは、世界でも俺だけかもしれん」と振り返る。

　2018年度には、宮崎県と共同開発した茶葉の焙煎（ばいせん）装置で、産業機械の業界団体から表彰された。まず遠赤外線で茶葉の温度を高めた後、洗濯機のように茶葉を回しながら熱風を送ることで均一に仕上がる。温度などを調整することで、理論上は1500通りの焙煎具合を試せるという。うわさを聞きつけた紅茶の産地・ネパールの企業が1台買った。従業員約10人の会社の技術が、ついに海を越えた。

　社長は長男の幸継さん（48）に譲ったが、技術者魂は衰えを知らない。最近は石焼きイモを1時間に100個つくる方法を研究する。ひらめいたのが、「自転公転式」。地球に見立ててサツマイモを並べた球体を自転させながら、太陽の周りを公転するようにヨコに移動させる。依頼から2週間ほどで設計。早速、試作に取りかかる。「うまくいくか、やってみんとわからん」。走りながら考える。（女屋泰之）

　せがわ・こうさぶろう　1946年、宮崎県生まれ。ホンダロック（宮崎市）で20年以上勤めた後、88年にドライアップジャパン（同県木城町）を設立し、社長に。2018年、会長に退いた。

組み立ても自分でこなす
　機械の設計から組み立てまで自分でこなす。作業机には約50個の工具が並び、いつでも使えるように身につける。製作意欲は乾燥機にとどまらない。最近は、霧吹きで野菜を栽培する装置を開発中だ。

事業は「自分の手が届く範囲」で
　社長時代のモットーは「年商1億円以内、従業員10人以内」。成長を目指すのが企業の常識だと笑われたこともあるが、企業の大きさに応じた資金繰りの大変さをホンダ子会社時代に痛感した。だから、全ての事業を自分の手が届く範囲に収めておきたい。その方が、働く人も会社の歯車にならず、健康を保てると考えている。