工事現場で鉄板に潰され記憶を失くした男性 会社の指示で病院から逃走させられ、記憶のないまま30年「残りの人生、もう多くは望まない」

1 : 2020/09/12(土) 21:34:26.12 ID:pJ+YWPGca

記憶なくし名前ないまま30年 香川で途絶えた手がかり
2020/9/12 17:00

https://news.headlines.auone.jp/stories/domestic/social/13721634

10年前、京都府内の日本海沿いの小さな町。

男は中華料理店へ入った。注文した中華丼や唐揚げを食べ、ビールと焼酎を飲み終えた。「おい」。店主に声をかけ、ナイフを突きつけた。レジ近くの箱をひったくり、逃げた。

だが、箱を開けてみると現金はなかった。入っていたのは売上伝票だけだった。

男は百貨店に駆け込んだ。トイレに入り、バッグにしのばせていた刃物を取り出した。シャツをまくり上げ、腹に突き刺した。床に倒れ込んだ。
腰に巻いたコルセット越しに血がにじみ出て、そのまま意識を失った。

男は絶望していた。

2 : 2020/09/12(土) 21:35:06.64 ID:pJ+YWPGca
この数カ月前。工事現場での仕事のあっせんを約30年間にわたり頼んできた手配師の男性が、突然に姿を消した。
仕事が得られなくなり、毎日の食事代にも困るようになった。その手配師以外に頼れる人はおらず、男は路頭に迷った。

男は、運転免許証や住民票などの身分証明を何一つ持っていなかった。それどころか、自分の氏名や正確な年齢さえわからなかった。

男には、20代半ばまでの記憶がほとんどなかった。

記憶を失ったのは、鳥取・米子の工事現場での事故がきっかけだった。後に周囲からは、「26~27歳」ごろのことだと言われた。

クレーンにつるされていた22ミリの鉄板が、数メートル上から落ちてきた。安全ヘルメットとともに頭蓋骨(ずがいこつ)が割れた。

約1週間後に目覚めると、全身が白い包帯で巻かれていた。頭蓋骨骨折、左足の粉砕骨折、内臓損傷、そして、記憶障害。

質問を重ねてきた脳外科医から言われた。「記憶は少しずつ戻ってくるかもしれない」。
会社の上司や看護師らは気の毒そうに見てきたが、自分では特に何も感じなかった。「おれはそういう人間なんだ」。そう思っただけだ。

半年後、退院の日が迫っていたある日の真夜中に、病院を抜け出した。

勤務先は高額の医療費をまかなう余裕がなかった。小遣い程度の現金を渡され、遠方への逃亡を指示されていた。
勤務先には出身地などを伝えていなかったらしく、帰る先は分からなかった。

求人の貼り紙で見つけた関西の工事現場で、長年の付き合いとなる手配師の男性に出会った。その手配師に任せれば、仕事を探す手間が省けた。
現場ごとに必要な作業員の登録も、偽名で済ませてくれた。

手配師は男を「てつ」と呼んだ。幼いころ、自分を「哲(てっ)ちゃん」と呼ぶ友だちがいたことをかろうじて思い出し、手配師にそう伝えたからだ。

各地を転々とし、工事現場の宿などで寝起きをした。大病にもかからず、健康保険や住民票がなくても特に問題なかった。
記憶をそれ以上取り戻す必要も感じず、30年ほどが過ぎた。

手配師に去られ、中華料理店で事件を起こした後に自殺を図った男は、容体の回復後に強盗などの疑いで京都府警に逮捕された。2010年5月のことだった。

男は容疑を認めたが、身元がわからない。府警は指紋などから前科前歴を洗ったが、見つからなかった。
レコーダーで話しぶりを録音し、特徴的な方言がないかも探ったが、長年各地の工事現場を転々としていたためか、標準語に近かった。

府警の取り調べで、男は何度も記憶をたぐるように求められた。記憶を取り戻す意思を持っていなかった男にとって、過去と向き合う作業はほとんど初めてだった。

3 : 2020/09/12(土) 21:35:25.55 ID:pJ+YWPGca
「かがわ」「たどつ」

思い出した。住んでいた地名だ。両親は幼いころに亡くなり、漁業で生計を立てる親類の夫婦に育てられた。養父の名は、「中野邦夫」だった――。

府警の捜査員は香川県多度津(たどつ)町に飛んだ。男が手書きで描いた地図には、学校のそばに川がある。
その風景の小学校を探り当て、男の推定年齢から、該当しそうな数年分の卒業アルバムを借りて戻ったという。

だが結局、身元は特定できなかった。町内に中野姓の人は多くいたが、名まで一致する人はいなかった。

「哲ちゃん」の通名のまま、公判は進んだ。男は実刑判決を受け、滋賀刑務所に入った。

3年余りで出所し、更生保護施設に向かった。「出たら必ず戸籍をつくれ」。刑務官からの忠告を守り、施設から弁護士を紹介してもらった。

戸籍を新たにつくる「就籍(しゅうせき)」の手続きだ。日本語を使い、日本のことわざの知識もあることなどから、日本人であることが家庭裁判所で証明された。

新たな氏名は自分で決めた。姓は「津和野」。記憶を失った後、一時期働いた島根県津和野町の城下町が好きだったからだ。

誕生年は「昭和28年」にした。「巳(み)年生まれ」と言われた記憶があり、戦時生活の記憶が一切ないからだった。

久保浩「霧の中の少女」(1964年発売)、松島アキラ「湖愁(こしゅう)」(61年発売)……。
いま1人で暮らす京都市内のアパートで聴くのは、記憶を失った時期に流れていた歌謡曲ばかりだ。心臓の持病を抱え、足も不自由だ。

二つの病院に通うとき以外、人と会う機会もほとんどない。でも思う。

「普通の生活がやっと持てたんじゃないかな」

残りの人生、多くは望まない。養父母が生きていても、高齢なので自分だとわからないだろう。記憶が戻らなくてもいいんだ。

そう、自分に言い聞かせている。

レス3番の画像サムネイル

4 : 2020/09/12(土) 21:37:23.51 ID:Pm9aD3af0
う…嘘松
5 : 2020/09/12(土) 21:37:54.88 ID:nZv9OHRY0
とんでもない会社だな
32 : 2020/09/12(土) 22:03:21.74 ID:K0djqXI20
>>5
そこらの建築会社なんてこんなもんだぞ
6 : 2020/09/12(土) 21:38:39.93 ID:cnNeKNvk0
すげぇ壮絶な人生だな
7 : 2020/09/12(土) 21:40:01.90 ID:7UqyBOhz0
退くに退けなくなった男の末路
8 : 2020/09/12(土) 21:41:13.23 ID:1RYUQTqE0
この人の存在は何なんだろうな…心がキュッとなった
9 : 2020/09/12(土) 21:42:14.34 ID:OLNaNouaa
あっ哲ちゃんじゃん…
10 : 2020/09/12(土) 21:42:51.94 ID:MG5nEc260
仮に昭和28年生まれで事故が27歳ということは昭和55年・1980年ごろだろ?
その時でもそんな適当な労働環境だったの?
24 : 2020/09/12(土) 21:53:12.95 ID:cXt2LrkKa
>>10
弁当と怪我は自分持ち
働く意志があれば何でもあり
41 : 2020/09/12(土) 22:09:45.61 ID:u2Gko+nsM
>>10
ウーバーイーツみてそれ言えるの?
44 : 2020/09/12(土) 22:16:12.98 ID:5MnMgev40
>>10
最近やっとまともになってきたくらいや
11 : 2020/09/12(土) 21:43:02.79 ID:vOsxGKU40
病院に記録残ってないのかね
12 : 2020/09/12(土) 21:45:29.29 ID:yQjc3sG10
クソ会社の被害者じゃん
13 : 2020/09/12(土) 21:45:42.76 ID:6EduwNnP0
嫌儲に知り合いいないの?
14 : 2020/09/12(土) 21:46:05.73 ID:CLFz8gjq0
俺は周りの人間から忘れ去られてるよ
15 : 2020/09/12(土) 21:46:34.80 ID:eZ+ZSxNL0
これはすごいな…
16 : 2020/09/12(土) 21:46:55.21 ID:1N7PbZzz0
全部読んでしまった
17 : 2020/09/12(土) 21:46:55.95 ID:VuU9byFj0
漫画やん
18 : 2020/09/12(土) 21:49:59.17 ID:dJ5LU/di0
津和野に行ってみたくなった
19 : 2020/09/12(土) 21:51:45.52 ID:vdqJ0KXu0
映画化決定
20 : 2020/09/12(土) 21:52:15.56 ID:MG5nEc260
昭和28年生まれとしたら今67歳か
記憶ないのは30年じゃなくて40年じゃないの
21 : 2020/09/12(土) 21:52:27.08 ID:elN4zDQTd
最初の治療代バックレた勤務先が悪くね
22 : 2020/09/12(土) 21:52:27.10 ID:Irva1ojt0
テレビでやってる記憶喪失者の公開捜査番組出ればいいじゃん
本人とぼけてるけど意外と直ぐに見つかってるみたいだぞ
23 : 2020/09/12(土) 21:52:53.79 ID:feTEHBKz0
人生一度きりなのに
年収何十億と稼いで色んな女とやってるやつもいるのにな
26 : 2020/09/12(土) 21:54:04.60 ID:hLdBcKh60
事実は小説よりも奇なり
27 : 2020/09/12(土) 21:56:44.55 ID:YLAXx2ODd
皆んなが哲っちゃんの帰りを待ってンだわ
28 : 2020/09/12(土) 21:57:03.20 ID:HUQ5JxFK0
よく生き延びれたよ
29 : 2020/09/12(土) 21:58:04.10 ID:tGtwYBxc0
いくらなんでも事故したときの会社に氏名ぐらいあるだろ
31 : 2020/09/12(土) 21:59:08.93 ID:aEVCmgUT0
入院した記録がわかるのなら、身元もわかるんじゃねーの?
その時の会社とか、親方とかも探せばわかるんじゃねーの?
33 : 2020/09/12(土) 22:03:35.10 ID:1SBRVxir0
>>31
その記録が正しいかどうか分からないだろ
元々流れ者なのかもしれないし
34 : 2020/09/12(土) 22:03:49.69 ID:FlmuhgKy0
>>31
哲っちゃんが望めばな
とはいえ30年も経てば病院にカルテは残ってないかもしれない
会社の記録はおろか会社自体無くなってる可能性が高い
35 : 2020/09/12(土) 22:04:57.25 ID:pSb31ROJM
工場ってどこでもゾッとするほど冷たいよな
あんなんいやだ
36 : 2020/09/12(土) 22:06:10.53 ID:bXk3HGIA0
これもう事実は小説より奇なりだろ……
37 : 2020/09/12(土) 22:06:11.45 ID:ltsgL23RM
でも強盗の凶悪犯罪者だよね
42 : 2020/09/12(土) 22:13:12.31 ID:5htUfc0fr
>>37
誰も傷つけてないから俺は同情したい
38 : 2020/09/12(土) 22:06:24.50 ID:iKh0bgyf0
生活保護でのんびり過ごして欲しい
39 : 2020/09/12(土) 22:09:05.69 ID:fODomzmL0
こんな事が現実にあるんだな
40 : 2020/09/12(土) 22:09:07.41 ID:u2Gko+nsM
すげー人生
43 : 2020/09/12(土) 22:13:43.82 ID:Z7ZbVnDvd
本当は背乗りした別人ってオチなら怖いな
本人はとっくに死んでるんだよ
46 : 2020/09/12(土) 22:17:26.78 ID:5MnMgev40
>>43
戸籍乗っ取られたほうだろ
45 : 2020/09/12(土) 22:16:21.69 ID:nr+mCukq0
実話だったんだ

コメント

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