富野由悠季「Gレコは宇宙進出はバカな考え方というのを伝える作品。いまだスペースコロニーを信じてる世間離れしてる人へのメッセージ」

だけど作品がヒットしなかったおかげで認識されていなかった。
だから劇場版にすることで、もう少しだけ知名度を上げておきたかったんです。ただ、誤解されたくないのは、この作品が軌道エレベータを支持している作品ではないということ。
軌道エレベータのことを真剣に考えれば考えるほど、これほどナンセンスなものはないということが分かります。ただ、こうした批判をリアルにやることはできない。
実際にそれを研究している人たちがいるから迂闊にはできない。

というのも、いまだにスペースコロニー的なものを信じている人がたくさんいる。そういう人たちって技術には詳しいんだけど、社会性が全くない。
そういう“世間離れした”人たちにやんわり「もっと気をつけてほしいんだよね」って教えるにはアニメという媒体を使うのが一番いいやり方なんだ、と気がついたんです。

『G-レコ』みたいな作品があれば、宇宙進出がバカな考え方だということが分かるでしょ？　
技術を行使する話をするってことは、これ以上技術を行使してはいけないんですよってところに行き着く。その話をする手がかりを『G-レコ』で作っておきたかったという気持ちがあります。