日中がコロナ治療薬の先陣争い、効果は未確認

抗ウイルス作用のある「ファビピラビル（一般名）」と呼ばれる薬剤を巡り、地政学的なライバル関係にある日本と中国が外交上の綱引きを演じている。両国はいち早く諸外国にこの薬剤を提供することで、新型コロナウイルスのパンデミック（世界的大流行）と戦う姿勢を誇示しようとしている。

　この外交戦術の異例さが際立つのは、いずれの国で製造された錠剤もコロナ感染者に有効だと明確に立証されていないためだ。学術誌の論文審査を経た研究で、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に対する有効性が示されたのは1件だけ。また、過去の研究では、妊娠した女性がファビピラビルを服用すると新生児に先天性奇形が生じる恐れのあることが示されている。中国での小規模の研究に関するその論文は、2週間前に何の説明もなくインターネットへの掲載を取りやめたが、米国時間16日に再び掲載された。

　ファビピラビルはコロナ治療薬が医療問題であると同時に政治問題になりつつあることを示す例の一つだ。ドナルド・トランプ米大統領は、国民を鼓舞するような楽観論の根拠を示そうとする中で、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンが有効かもしれないと主張している。これに対し、専門家は有効性を示す明確な証拠はないと警告している。

　「アビガン」の商品名で日本企業が最初に開発したファビピラビルについて、安倍晋三首相や中国の当局者は、おおむね科学的検証に基づかない新型コロナ感染者への投薬成功例を引き合いに出し、この薬剤の効果をうたっている。

　「希望する患者の皆さんへの使用をできる限り拡大していく考えです」。安倍首相は4月7日の記者会見でこう述べた。「世界30カ国以上から、このアビガン、日本から送ってもらいたい、提供してもらいたいという要望も実は来ているわけであります」。同日夜、NHKの番組に出演した首相はこの薬剤を「特効薬」と呼んだ。

　安倍首相は3月25日の日米電話首脳会談でトランプ大統領と新型コロナウイルスの治療薬について話し合ったと、日本側は説明する。これに関与する米当局者によると、ホワイトハウスは米国でファビピラビルの使用を推進することに強い関心を示したという。マサチューセッツ州の3病院ですでに臨床試験が始まっており、上記当局者の話では被験者以外の患者への緊急使用についても検討する可能性があるという。

　「アビガン」は 富士フイルムホールディングス 傘下の富士フイルム富山化学が20年前に開発した。昨年その物質特許が失効したため、中国企業が同じ薬剤をファビピラビルの後発医薬品（ジェネリック）として販売する道が開かれた。

　中国科学技術省の張新民氏は先月の記者会見で、ファビピラビルはパンデミックに対する中国の解決策の一つだと述べた。中国は「ファビピラビルなどの主要医薬品を他の国々に提供している」と語り、さらにこの薬には「すぐれた臨床効果」があると説明した。再度掲載された中国の80人の患者を対象にした研究では、ファビピラビルを投与した患者が抗HIV（エイズウイルス）薬を投与した患者よりもウイルス陰性となったスピードが速かったとしている。ただし、患者は無作為に2グループに分けられたわけではない。

　中国では少なくとも７カ所で臨床試験が進行中だ。試験に携わる北京の病院の医師はこう語った。「中国はCOVID-19の最初の治療薬を手に入れることを目指す。これは競争だ。武漢が最初の流行中心地だったという事実は中国がこの競争に必ず勝たなければならないことを意味する」

　日本はアビガンを2014年にインフルエンザ治療薬として承認した。ただ、既存薬が効かない新型インフルエンザが大流行した場合の備えという位置づけであり、通常の患者にこの薬が投与されたことはなかった。理由の1つは、動物実験の結果から、胎児に奇形が生じる恐れがあると示されたことだ。富士フイルムは世界中の数千人の患者にアビガンの試験を行ったが、学術誌にその結果を公表しておらず、日本以外で承認申請を行ったこともない。

　試験のガイドラインに反し、授乳中の母親が投薬を受けていたと判明したことで、ある治験は中止になった。日本の規制当局は、富士フイルムが試験結果をよく見せるため、効果が表れなかったアビガン投与グループの患者を過度に除外したとしている。富士フイルム広報課の西嶋卓郎氏は同社の集計方法について「専門家の助言に伴ってやったことで、検査当局との見解の違いである」と述べた。

全文はソース元で
2020年4月23日 05:00
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1111186.html

アビガンの認可を潰しにかかった某日本の製薬と弱腰外交が日本の未来を暗いものにした

いくらでも実験し放題だから中国の勝ちだね