米一流紙WSJ、「新型コロナ拡大は中国共産党のせい」という超批判記事を掲載してしまう

　現代の複雑な経済をほぼ全面的に封鎖し、段階的に再開することは、これまで経験がなかった類いの対応だ。中国政府や他の諸国の政府が、初期対応ですべての問題、あるいは大半の問題にさえ、正しく対処できると考える者はおそらく誰もいない。
しかし、中国で本当は何が起きているのかという情報は、他の多くの諸国が失敗を犯すリスクを減らす可能性がある。昨年12月と今年1月に中国当局の秘密主義が恐怖を世界に広げた際と全く同様に、その秘密主義が現在、世界のウイルス対応の取り組みを阻害しているのだ。

　うれしいことに、新型コロナウイルスを研究する米中の科学者間の協力は、良い方向に進んでいる。世界中の医師は、1つの目標に向かう前例なき世界的な取り組みの一環として、この謎の病の理解と治療に努めている。
今月に入り、中国の第一線の学者らは、新型コロナと戦うために米中が協力するよう求めた。米国の第一線の学者と元政策立案者のグループも、同じことを呼びかけた。

　しかし、一部の科学者や学者が協力しているにもかかわらず、中国政府は自国民および世界の国々に重要な情報を伝えずにいる。中国の医師、科学者、独立系のジャーナリストがその有能さ、
正直さと勇気で世界的に高く評価されている一方で、政府の行動は向こう何年にもわたって、世界における中国の地位に悪影響を及ぼすだろう。

　中国政府が一番気にしているのは国内世論だ。中国共産党の正当性の2つの源である実務家としてのスキルと国外で中国の評判を上げる能力は、新型コロナウイルス感染症とそれに対する政府の場当たり的な対応によって損なわれている。

　70年にわたって政権を握る中国共産党は、専制的な支配、残忍な抑圧、目を見張るほどの腐敗、ひどいレベルのごまかし、不正行為と権力乱用を組み合わせた統治システムにいまだに依存している。
新型コロナウイルスの集団感染は、地元当局者の利権集団によって、できる限り上層部に伝えない措置が取られた。このことは、中国政府が打ち出したいイメージと、一党独裁の薄汚れて腐敗した現実との差を冷酷に浮き彫りにした。

続く

　中国の指導部は、国民の関心をそらすため、いつもの作戦に回帰した。情報を隠し、疫病に関する議論を抑え込み、ナショナリスト的な意識を高める戦略だ。
問題は、中国政府が国内の支配を強めるために必要だと考えた措置によって、中国の経済見通しと国際的な評価が劇的に悪くなったことだ。

　自由貿易のルールと世界的な供給網を利用するだけでなく、時に悪用することで世界の大国になった中国は現在、自らのビジネスモデルの根元を切り落とそうとしている。
感染症のパンデミック（世界的大流行）のような甚大なショックにさらされるリスクの増大を中国でビジネスをするコストに含めるのならば、「メード・イン・チャイナ」は割に合わない。
加えて、中国政府がパンデミックについてこれほどあからさまに、かつ、信じがたいほどうそをつけるのならば、民間投資家も外国政府も、中国政府の約束を信頼することなどできないのではないか。

　世界は、使えない場合もある中国製医療器具のプロパガンダ的な輸出を必要としていない。世界は中国政府が真実を語ることを必要としている。
残念なことに、中国は自国民に正直になることなしに、世界に正直になることはできない。そしてそれは、中国共産党が決してできないことだ。

https://jp.wsj.com/articles/SB12455294765627133433304586322770798669158