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女子サッカー生きる伝説は健在　34歳「五輪に全集中」

サッカー女子の国際親善大会「シービリーブスカップ」で11日に日本代表（なでしこジャパン）と対戦するのが米国。昨夏のワールドカップ（W杯）フランス大会で2連覇した強豪は今大会も2連勝と好調だ。
なかでも存在感が大きいのが、W杯得点王で、昨季の国際サッカー連盟（FIFA）の女子最優秀選手に輝いたMFミーガン・ラピノーだ。男女間の待遇格差を訴え、トランプ大統領への批判もいとわない34歳は、東京五輪に向けても強い意欲を示す。

　8日のニュージャージー州でのスペイン戦。チケットは完売され、2万6500人の観客が集まった試合で、トレードマークのピンクの髪をなびかせた背番号15がチャンスをつくると、会場がわいた。ラピノーの力強いキックと世界屈指の技術は健在だ。

　同性愛者であることを公言し、世界に多様性を訴える。昨年のW杯では、サッカー誌の取材に「（招待されても）クソみたいなホワイトハウスなんて行かない」と、トランプ大統領を批判。強い発信力で、その存在は一気に世界に広まった。

　ラピノーは以前から、女子サッカー選手の待遇の改善を訴える。昨年3月には米国の女子代表選手らが男子代表との待遇格差の是正を求めて米国連盟を提訴。これまでの大会や親善試合でのボーナスが、男子に比べて半分だったり、3分の1だったりしたとして、約6700万ドル（約68億5千万円）の返済を求めている。

　今年2月には、そうした米国女子代表の動きを、同男子代表が支持する声明を発表した。これを受け、ラピノーは今大会前に「非常に感謝した」と話した。裁判は5月から始まる予定だが、ラピノーは「自信がある」とも語った。

　米国では雑誌の表紙を飾り、今や世界の女子サッカー選手のロールモデルの一人だ。しかし、急速に知名度を高めた昨夏のW杯以降、ラピノーは「（周囲が）劇的に変化した」と戸惑いがあったという。
「正直言って、秋のころには少し圧倒されていた。私を追いかけるカメラマンはあまりいなかったが、露出が高まって最初は苦労した」と打ち明ける。しかし、次第にそうした環境に慣れたという。今も彼女の取材の場には大勢の人だかりができるが、堂々と対応している。

　ロンドン五輪で金メダル、W杯は2度制覇と世界タイトルを次々と獲得してきた。そして多方面でスポットライトを浴びながら、東京五輪前の7月には35歳の誕生日を迎える。アスリートとして過ごす日々は容易ではないだろう。それでも、彼女には変わらないものがある。

　それはサッカーへの情熱だ。ラピノーは言う。「何よりも、私はサッカー選手であり続けたい。すぐに引退するつもりはない。オリンピックに向けて全て集中し、準備している」。真夏の日本で、サッカー界の伝説的なプレーヤーが躍動しそうだ。

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