マスク氏、洗面台を持ってTwitter訪問　買収大詰めか

【シリコンバレー=白石武志】米起業家のイーロン・マスク氏は26日、洗面台を持って米サンフランシスコ市内にある米ツイッター本社を訪問する自らの動画をツイートした。米メディアの間では、総額440億ドル（約6兆4000億円）の買収取引の完了が近いことを示唆する内容だと受け止められている。

マスク氏が自らのツイッターアカウントに投稿した10秒弱の動画のなかでは、同氏が白い洗面台（sink）を持ってツイッターの建物に入る姿が映されている。投稿には「Entering Twitter HQ-let that sink in!（ツイッター本社に入る。じっくり考えてみろ）」との文言を添えた。

投稿の意図は判然としないが、米メディアは数年前に広まったインターネットミーム（ネット上の面白ネタ）の引用だと指摘している。買収取引の最終局面まで悪ふざけを続けるマスク氏に対し、ネット上では冷ややかな意見もあがっている。

動画の投稿に先立って、マスク氏は自らのアカウントのプロフィルを「Chief Twit」に変更した。「twit」には「なじる」や「まぬけ」などの意味がある。その後の投稿では「今日はツイッターでたくさんのクールな人たちに会った」とも述べた。

マスク氏は資金調達を交渉中の銀行団に対し、米裁判所に示した期限である28日までに買収取引を完了させると誓約したと報じられている。28日までにツイッターとの交渉がまとまらなかった場合には、同社との法廷闘争が続くことになる。

26日の米国市場でツイッター株は前日終値に比べ1%高い53ドル35セントで取引を終えた。マスク氏が提案した1株当たり54ドル20セントの買収価格に近い水準で、株式市場は取引完了が近いと織り込んでいる。

米ブルームバーグ通信は26日、マスク氏が買収取引の完了が見込まれる28日にツイッターの従業員らに対して演説する予定だと報じた。1億人を超えるフォロワーを抱える同氏が影響力を駆使して注目を集めた「劇場型買収」は大詰めを迎えている。

日本経済新聞　2022年10月27日 7:31 (2022年10月27日 8:07更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2707S0X21C22A0000000/