雲崗石窟（うんこうせっくつ）などを撮影した六田（むだ）知弘さんが個展を開催

聖堂の厳粛 モノクロで　金沢 六田知弘さん「シトーの光」展
2021年10月16日 05時00分

祈りに通じる風景や物を撮影し続けている写真家六田（むだ）知弘さん（６４）の個展「シトーの光」（北陸中日新聞後援）が金沢市本町のギャラリー「アート玄羅」で開かれている。カトリックでも厳格な戒律で知られるフランスのシトー会の修道士が石を積み上げて建造した聖堂の光と影をとらえた作品をオリジナルプリントで見ることができる。
　中世の欧州でシトー会の修道士たちが粗い石を積み、聖なる光のほか一切の装飾を排して聖堂を築いた。厳肅で清らかなロマネスク建築の精華に迫るモノクローム写真１６点を展示。光と影の絶妙なコントラストと石がもつ質感が静ひつさをたたえている。
　六田さんは２００５年から欧州のロマネスク建築を訪ね歩く中でシトー会の聖堂に出合った。「シンプルな場所でこれほど精神性を感じさせるのか。石と光だけで神を感じさせる空間ができるのは驚異的だった。その場に立っているだけで喜びを感じた」という。
　１９８２年にネパールのシェルパ村に暮らして撮影して以降、欧州のロマネスク教会や中国の雲崗石窟（うんこうせっくつ）などの宗教的な空間を撮影、東日本大震災後は、被災地の地面に散乱していた物も見詰めてきた。
　撮影では「撮るというより、触媒のように向こうから来るものを受け止めて出している感覚がある」という。奈良県生まれで、シトー会での撮影では「子どものころ祖父に連れられて歩いた古寺にあったような自然光だった」と話した。会期は２６日まで。水、木曜日休廊

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