明日、蒲田行くからオススメスポット教えてくれ

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感情のせて、「はぁ？？」　「蒲田前奏曲」に出演、伊藤沙莉

彼女の発する「はぁ？？」にはゾクゾクさせられる。相手の不用意な発言に「ありえないんですけど」と返す時のリアクション。眉根を寄せ、全体重を乗せて相手に浴びせる。

　「よく言わされるんです。『……えっ？？』も結構あります。ムロツヨシさんが、お前の『はぁ？？』が大好きだよと言ってくれました（笑）」

　現代の女性が直面する状況を四つの挿話で描く「蒲田前奏曲」。その一編で外資系企業のキャリア女性、帆奈を演じる。学生時代の仲間５人が集う女子会で、能天気な麻里（福田麻由子）が「私、結婚します」と報告。独身の帆奈が絶妙のタイミングで最凶の「はぁ？？」を繰り出す。

　「あの時は様々な感情のパンチを同時に食らった感じですね。パッと頭に浮かんだ知り合いがいたので、彼女の表情を忠実に再現しました」

　帆奈は勝ち気な女性だ。いけすかない男性に出会うと「あんた、いくらもらってんのよ？」と年収の勝負を仕掛けたりもする。「お高く止まっていると誤解されるけど、自分を肯定しないと崩れてしまう繊細さがある。そのあんばいが難しかった」

　女子会で既婚（婚約）と独身に分かれて言い合いする場面は、小津安二郎監督の「麦秋」（１９５１年）を思い出させる。「麦秋」の独身組は原節子と淡島千景だった。

　「すごい名作が出てきましたね。それにしても人間のやることは変わらないんですね。今、女性が声を上げる時代になってきたけど、それも昔の女性が立ち上がったことから始まった。つながっているんですね」

　子役でデビューし、既に１７年の経歴を持つ。「子役時代は言われた通り正確に演じるのが大前提でした。でもそのカチッとした感じが気持ち悪かった」。２００８年に公開された「東南角部屋二階の女」の池田千尋監督との出会いが転機になった。

　「決まりきった動きをしないで、と言われたんです。感情を一番に考えることを試してほしい、と。そこからですね、いろんな演技を見つけるのが楽しくなった。それらを次の作品で『大さじ１』ずつ加えて、毎回新しい発見をしています」

　大さじ１で、「はぁ？？」にも更に味わいが増していくことだろう。

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　いとう・さいり　１９９４年、千葉県生まれ。９歳の時にドラマ「１４ケ月～妻が子供に還っていく～」でデビュー。ＮＨＫの朝ドラ「ひよっこ」の米子役で人気を得る。「蒲田前奏曲」は２５日公開。今秋は「タイトル、拒絶」など公開作が多数控える。